六十調図第九
(【原注】周礼、淮南子、礼記の鄭氏註・孔氏正義によって定めた)
宮 | 商 | 角 | 変徴 | 徴 | 羽 | 変宮 | |
黄鐘宮 | 黄鐘正正 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 |
無射商 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 | 南呂変半 |
夷則角 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 |
仲呂徴 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 応鐘変正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 |
夾鐘羽 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 |
大呂宮 | 大呂正正 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 |
応鐘商 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 | 無射正半 |
南呂角 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 |
蕤賓徴 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 |
姑洗羽 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 |
太簇宮 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 |
黄鐘商 | 黄鐘正正 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 |
無射角 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 | 南呂変半 |
林鐘徴 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 太簇正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 |
仲呂羽 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 応鐘変正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 |
夾鐘宮 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 |
大呂商 | 大呂正正 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 |
応鐘角 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 | 無射正半 |
夷則徴 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 |
蕤賓羽 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 |
姑洗宮 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 |
太簇商 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 |
黄鐘角 | 黄鐘正正 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 |
南呂徴 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 |
林鐘羽 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 太簇正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 |
仲呂宮 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 応鐘変正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 |
夾鐘商 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 |
大呂角 | 大呂正正 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 |
無射徴 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 | 南呂変半 |
夷則羽 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 |
蕤賓宮 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 |
姑洗商 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 |
太簇角 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 |
応鐘徴 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 | 無射正半 |
南呂羽 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 |
林鐘宮 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 太簇正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 |
仲呂商 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 応鐘変正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 |
夾鐘角 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 |
黄鐘徴 | 黄鐘正正 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 |
無射羽 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 | 南呂変半 |
夷則宮 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 |
蕤賓商 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 |
姑洗角 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 |
大呂徴 | 大呂正正 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 |
応鐘羽 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 | 無射正半 |
南呂宮 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 |
林鐘商 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 太簇正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 |
仲呂角 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 応鐘変正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 |
太簇徴 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 |
黄鐘羽 | 黄鐘正正 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 |
無射宮 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 姑洗変半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 | 南呂変半 |
夷則商 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 林鐘変半 |
蕤賓角 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 |
夾鐘徴 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 南呂変正 | 無射正正 | 黄鐘変半 | 太簇変半 |
大呂羽 | 大呂正正 | 夾鐘正正 | 仲呂正正 | 林鐘変正 | 夷則正正 | 無射正正 | 黄鐘変半 |
応鐘宮 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 仲呂正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 | 無射正半 |
南呂商 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 | 夷則正半 |
林鐘角 | 林鐘正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 太簇正半 | 姑洗正半 | 蕤賓正半 |
姑洗徴 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 無射正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 | 夾鐘正半 |
太簇羽 | 太簇正正 | 姑洗正正 | 蕤賓正正 | 夷則正正 | 南呂正正 | 応鐘正正 | 大呂正半 |
按ずるに、十二律がつぎつぎに宮となり(*)、それぞれに七声があるので、のべ八十四声であった(*)。宮声十二、商声十二、角声十二、徴声十二、羽声十二で合計六十声となり、これらが六十調を構成する(*)。〔八十四声には〕変宮声が十二あり、羽声の後、宮声の前にある(*)。変徴声の十二は、角声の後、徴声の前にある。しかし「宮」であっても「変宮調」とはならず、「徴」であっても「変徴調」にはならない。これら合計二十四の〈変声〉は調を形成しないのである。
〈黄鐘宮調〉から〈夾鐘羽調〉は、すべて黄鐘律で調を始め、黄鐘律で曲が終わる(*)。〈大呂宮調〉から〈姑洗羽調〉は、すべて大呂律で調を始め、大呂律で曲が終わる。〈太簇宮調〉から〈仲呂羽調〉は、すべて太簇律で調を始め、太簇律で曲が終わる。〈夾鐘宮調〉から〈蕤賓羽調〉は、すべて夾鐘律で調を始め、夾鐘律で曲が終わる。〈姑洗宮調〉から〈林鐘羽調〉は、すべて姑洗律で調を始め、姑洗律で曲が終わる。〈仲呂宮調〉から〈夷則羽調〉は、すべて仲呂律で調を始め、仲呂律で曲が終わる。〈蕤賓宮調〉から〈南呂羽調〉は、すべて蕤賓律で調を始め、蕤賓律で曲が終わる。〈林鐘宮調〉から〈無射羽調〉は、すべて林鐘律で調を始め、林鐘律で曲が終わる。〈夷則宮調〉から〈応鐘羽調〉は、すべて夷則律で調を始め、夷則律で曲が終わる。〈南呂宮調〉から〈黄鐘羽調〉は、すべて南呂律で調を始め、南呂律で曲が終わる。〈無射宮調〉から〈大呂羽調〉は、すべて無射律で調を始め、無射律で曲が終わる。〈応鐘宮調〉から〈太簇羽調〉は、すべて応鐘律で調を始め、応鐘律で曲が終わる。
以上が六十調である。六十調とはつまり十二律であり、十二律とはつまり一黄鐘である。黄鐘が十二律を生み出し、十二律が五声と二変を生み出し、五声はそれぞれが綱紀となって六十調を構成する。六十調はすべて黄鐘律の損益による変化なのである。宮調、商調、角調の合計三十六調は老陽であり、徴調と羽調の合計二十四調は老陰である。六十の調が完成して陰と陽が完備するのだ。
こういう疑問があろう。日辰の数は天数の〈五〉と地数の〈六〉が入り混じって生じるが、律呂の数は〈黄鐘律九寸〉が損益されて生じ、両者の原理は異なる。しかし完成された数を考えると、日に六甲があり辰に五子があり(*)六十日となる。律呂には〈六律〉と〈五声〉があり六十調となる。まるで割り符が一致するようであるのはなぜだろう。それはつまり、先に述べた「調成りて陰陽備わる」ということである。そもそも〈理〉には必ず「対待」がある(*)。「数の自然」ということである。「天五地六」により陰と陽を合わせて述べるなら「六甲五子」の変化で六十日となる。うち三十六が陽であり、二十四が陰である。黄鐘律九寸により陽だけを論じて陰に触れずに述べるなら「六律五声」の変化で六十調となる。これもやはり三十六が陽で、二十四が陰である。実は陽の中にも陰と陽があるということだ。天地の化育の働きを理解する者でなければ、これに参与することはできない。
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