黄鐘生十一律第三
- 子 一分
〈一〉が九寸にあたる。 - 丑 三分の二
〈一〉が三寸にあたる。 - 寅 九分の八
〈一〉が一寸にあたる。 - 卯 二十七分の十六
〈三〉が一寸にあたる。〈一〉が三分にあたる。 - 辰 八十一分の六十四
〈九〉が一寸にあたる。〈一〉が一分にあたる。 - 巳 二百四十三分の百二十八
〈二十七〉が一寸にあたる。〈三〉が一分にあたる。〈一〉が三釐にあたる。 - 午 七百二十九分の五百十二
〈八十一〉が一寸にあたる。〈九〉が一分にあたる。〈一〉が一釐にあたる。 - 未 二千百八十七分の千二十四
〈二百四十三〉が一寸にあたる。〈二十七〉が一分にあたる。〈三〉が一釐にあたる。〈一〉が三毫にあたる。 - 申 六千五百六十一分の四千九十六
〈七百二十九〉が一寸にあたる。〈八十一〉が一分にあたる。〈九〉が一釐にあたる。〈一〉が一毫にあたる。 - 酉 一万九千六百八十三分の八千百九十二
〈二千百八十七〉が一寸にあたる。〈二百四十三〉が一分にあたる。〈二十七〉が一釐にあたる。〈三〉が一毫にあたる。〈一〉が三糸にあたる。 - 戌 五万九千四十九分の三万二千七百六十八
〈六千五百六十一〉が一寸にあたる。〈七百二十九〉が一分にあたる。〈八十一〉が一釐にあたる。〈九〉が一毫にあたる。〈一〉が一糸にあたる。 - 亥 十七万七千百四十七分の六万五千五百三十六
〈一万九千六百八十三〉が一寸にあたる。〈二千百八十七〉が一分にあたる。〈二百四十三〉が一釐にあたる。〈二十七〉が一毫にあたる。〈三〉が一糸にあたる。〈一〉が三忽にあたる。
按ずるに、黄鐘がそのほかの十一の律を生みだすのであるが、子・寅・辰・午・申・戌の六陽辰の律(黄鐘、太簇、姑洗、蕤賓、夷則、無射)はすべて「下生」で、丑・卯・巳・未・酉・亥の六陰辰の律(大呂、夾鐘、仲呂、林鐘、南呂、應鐘)はすべて「上生」である。
〔「某分某」という表記の、「分」の〕上に書かれた数値(*)は、〈三〉を十二辰にしたがって累乗(*)したものであり、これは基準となる黄鐘の律の長さを意味する(*)。
〔「分」の〕下に書かれた数値(*)は、陰辰の場合はひとつ前の数値を二倍して得ている。これは、直前の律数を三等分してそのうちの一を減じる、三分損一の操作にあたる。陽辰の場合はひとつ前の律の数値を四倍して得ている。これは直前の律数を三等分してその一に相当する値を加える、三分益一の操作にあたる。
六陽辰はその位置で「自得」している(黄鐘が子、太簇が寅のようにしかるべき方位にある)。かたや六陰辰はみずからの占めるべき方位の「衝」(*)(反対方向)の位置にある。
陰辰のうち林鐘・南呂・應鐘の三呂は、それがもともと座るべき「陰」の位(*)(子午線より西)にあるので数値を増減しなくてよい。大呂・夾鐘・仲呂の三呂は〔陰の律でありながら〕「陽」の位(*)(子午線より東)にあるので、その数値を二倍にする(*)ことによってはじめて十二か月の気と感応しうる。陰が陽に従属するのは「自然の理」なのである。
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